News 東近畿教区平和集会

 「世界真の平和を共に祈ろう」をテーマに、七月十二、十三日に開かれた全国信徒会中央ブロック研修会と連動して、東近畿教区平和集会を開催した。【金光教報-天地】
 参集者は約三百人で、会場ロビーには、教区内の信奉者が事前に取り組んだ「平和へのメッセージ」が掲示され、当日の参加者たちもそれぞれに平和への願いを書き込んだ。

開会セレモニー

 「天地書附」奉体の後、池川智世雄実行委員長が、「まずは、私たちの家庭が平和になり、そこから世界中が平和になってこそ、世界真の平和が生まれてくるのではないだろうか。この平和集会をとおして、私たちが考え、少しでも実行し、世界真の平和が一日も早く実現することを、共々にお願いさせていただきたい」と、開会のあいさつを述べた。

 続いて、「天地の恵みに感謝し、自然と共存する生活を進めます」「人と人との間に差別をせず、人権を尊重します」「寄付や活動を無理じいせず、被災者や難民の支援に進んで取り組みます」「暴力によって問題を解決することに反対し、真の平和を求めます」など、八か条からなる東近畿教区平和集会の「願い」を全員で唱和した。

講 演

 「憎しみを乗り越えて─北アイルランド和平プロセスの真実」という講題で、ヒュー・ブラウン氏(西播磨キリスト教会牧師)が次のように語った。

 「私は、北アイルランドのイギリス系住民の家庭に生まれたが、この地域では、私が十代のころから、ある大きなテロ組織による活動が活発化し、イギリス系住民が無差別テロの犠牲になっていた。このため、『テロと戦うには、同じテロで戦うしかない』として、イギリス系住民によるテロ組織が対抗した。このような状況のなかで、私は十五歳の時、『住民を守る英雄になる』という気持ちで、イギリス系住民による組織のテロ活動に加わった。

 北アイルランドのテロ組織には、宗教のために戦っているという人はほとんどなく、被害に遭ったことへの復しゅう心や憎しみを持って組織に入る人が多かった。私自身も十八歳の時、対立するテロ組織に捕まり、双子の弟がひどい拷問を受けるのを目の当たりにして、『許せない、殺してやりたい』という憎しみを大きくした。

 やがて、私は政治犯として刑務所に収容され、そこでテロ組織の真実を知り、さらには信仰に目覚めたことで、牧師になることを決意した。そのなかで、私が気づいた最も大きな罪は、テロ組織に入ったことやテロ行為を行ったことではなく、その前提となる『不信仰』という罪だった。そして、聖書を読むなかで、『自分が人を許さなければ、自分も神様の前では許されない』と気づいた。私は、弟に拷問を加えた相手を許せずに苦しんだが、許すことの大切さが理解できた時に、相手を『殺したい』という感情から解放された。

 憎しみを乗り越えない限り、被害者は被害者のままである。また、人の心に憎しみが残っている限り、それは平和とはいえない。平和をもたらす大切な行為は『許す』ことであり、アイルランド紛争を終結に導いたのも、この『許す』という行為だった。

 ある時、イギリス系住民の父親が、テロによって死亡した娘のそばでテレビのインタビューに答え、『私は彼ら(犯人)を許します。彼らのために祈ります』と発言して、大きく注目された。その後、今度は、テロで息子を亡くしたアイルランド系住民の父親が、『私は彼ら犯人)を許します。彼らのために祈ります』と答えた姿が放映され、こうした報道の後に、三十五年間続いた北アイルランド紛争が、解決に向けて進みはじめた。

 この平和に一番貢献したのは、犯人を許した人たちだった。私たちは、自分の身近な人を『許す』ことから、平和を築くことを始めなければならない」

パネルディスカッション

 パネルディスカッションでは、最初に四人のパネリストが、それぞれに取り組んでいる平和活動について語った。

 まず、東京センターの小柴宣和所長が、東京平和集会の願いとともに、「環境問題」「差別」「戦争・紛争」「平和実践」などの幅広いテーマを扱ってきた「ひろば」などについて説明した。元・広島平和集会実行委員長の沖秀広氏は、広島平和集会の経緯や、その活動のなかから金光教平和活動センターが生まれてきたこと、原爆の悲惨さを語り継ぐ「被爆のどん底から」という行事をとおして、原爆被災の風化を防ぐ努力をしていることなどを紹介した。

 国際センターの山田信二所長は、「平和」という視点から国際センターの活動を説明し、世界各地で日常的な平和祈願の大切さが認識されてきたことから、英文拝詞集に「Peace Prayer」(平和の祈り)を加える作業を進めていることや、ドイツ、オーストラリアなどで行っている平和祈願祭について紹介した。また、金光教平和活動センターの西村美智雄専務理事は、同活動センターの取り組みを説明した。

 続いて、東近畿教務センターの橋本美智雄所長がコーディネーター役として加わり、「明日の平和活動を考える」というテーマで、「慰霊の意味合いと今後」「政治的な活動とその位置関係」「これからの平和活動」について意見交換した。

 そのなかで、「慰霊祭や戦争経験を語り継ぐ活動のなかで、『みたま様がお働きになる』と感じることが、本教の平和集会の特徴ではないか」「一人ひとりが『信心の目』を持ち、政治の問題を信心の問題として考えていくことが大切」「各地で行われる平和集会を点とするならば、それがつながって線となり、さらに広がって面となって、世界を覆うような活動になれば」という意見があり、「点を線に変える活動」事例として、二〇〇六年に行われたピースウォークの内容が紹介された。

閉会セレモニー

 橋本所長が、「今回の集会をとおして、各地の平和集会の根本の願いは一つであり、その願いは、ドイツやオーストラリアの金光教集会にもつながっていることを確認できた。その意味で、私たちの平和への祈りは、世界平和の一翼を担わせていただいている、と実感する。一人ひとりの働きは小さいかもしれないが、お互いが自分自身を出発点にしていくことが大切だ」と、閉会のあいさつを述べた。

 続いて、参集者全員が平和への祈りを込めて黙とうをささげ、「祈り合う世界」を斉唱した。

News Update:2008/08/26


最近の News 10

  • 金光新聞データストック
  • 金光図書館ホームページ
  • ラジオ放送 金光教の時間