読む信心-神様の働き現す心の形

食品会社に勤務する田中幸雄さん(58)が金光教とのご縁を得たのは、今から17年前のことです。きっかけは、職場での人事異動でした。【金光新聞】


 当時、会社や学校などに弁当を配送する部門で働いていた田中さんは、ある日、上司から、配送部の責任者になってほしいと告げられました。その突然の要請に、「とても無理です」と、いったんは断ったものの、「何とか考えてほしい」と再度請われたのです。この時田中さんには、先輩や同僚を差し置いて、自分が責任者としてやっていく自信がまったくありませんでした。仕事のことは家に持ち帰らない主義でしたが、悩み続けた末に妻のみどりさんに相談しました。

 「教会にお参りして、先生に話を聞いて頂こうよ」。みどりさんはそう言いました。 田中さん夫婦は、金光教本部がある岡山県の金光町に隣接した町の出身で、みどりさんは金光学園の卒業生でもありましたが、信心を頂くまでにはなっていませんでした。結婚して、隣県で暮らすようになったある日、所用で出掛けた先で金光教の教紋である「八波(やつなみ)」の門灯が、みどりさんの目に入り、「ああ、ここに金光様がある」と懐かしさが込み上げ、思わず教会の門をくぐったことから、みどりさんの教会参拝が始まったのです。それは人事異動の話が出る2年ほど前のことでした。

 田中さん夫婦は、初めてそろってお取次を頂きました。その時、42歳の厄年を迎えていた幸雄さんは教会長から、「あなたは厄年を迎えておられる。世間では厄をよけることを考えますが、金光教では『厄』を『役』として、お役に立つ年と頂いています。その役年に来た話ですから、お引き受けなさい。きっとおかげになります」とみ教えを受けました。

 田中さんは、責任者を引き受けることにしました。と同時に、教会参拝を始め、お結界でお取次を頂くようになっていきました。

 そんな中で、教会長から聞いた一つのみ教えが、その後の生き方を大きく方向付けることになりました。それは、次のような内容でした。

 「人は皆、神様の一部(分けみたま)を与えて頂いています。その神様は、心をまるくすると働きを現されますが、自己中心的な考えを持ったり、行動をすると、心が△(三角)や□(四角)、はては(ギザギザ)になって、神様が出られない状態になります。こうなると何事もうまくいかなくなり、難儀が起きてきます。まるい心にならせて頂くと、神様の働きが生き生きと現れ、かかわり合う人たちの神様とも触れ合って、共に助かる姿が現れてきます」

 それからの田中さんは、心をまるくすることに取り組みました。それに伴って、教会参拝も、自分のことから、職場やかかわり合う人たち、さらには会社全体の立ち行きを願うものへと変わっていったのです。

 4年前、会社が東京の大手資本に吸収合併され、田中さんはそれまでの配送部門から、未経験の営業部門に配置転換となりました。現在は、営業マネージャーとして顧客からの苦情対応などにも当たっています。

 田中さんは、「日々、新たな勉強をさせてもらっています」と前向きに仕事に励み、また、家庭にあっては夫婦で信心の共励に取り組んでいます。

※このお話は実話をもとに執筆されたものですが、登場人物は仮名を原則としています。


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読む信心-Update:2008/07/17

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