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第21回 金光教東京平和集会

開催テーマ 「子どもがつくる 未来の平和」
日時:2003年7月20日
場所:金光教館(イーストホール他)
内容:環境のひろば・人権のひろば・戦争のひろば・平和祈願祭


東京センターでは、7月20日(日)、金光教館イーストホールにおいて、第21回東京平和集会を開催した。
本年度のテーマは「子どもがつくる 未来の平和」。海外(ハワイ、タイ、韓国)からの参加者と、国際交流しながら、3つのひろば「環境」「人権」「戦争」に分かれて、平和な社会を築くための学習をし、未来の平和を考えた。
その後、東方伝道記念会堂において、平和祈願祭が仕えられた。

オープニング

当センターでは、毎年平和集会を開催していますが、本年は、子どもに焦点を当て、「子どもがつくる 未来の平和」をテーマに開催しました。参加者は幼稚園生から八十歳代の方までと幅広く、約二三十人の参加があり、またハワイ、タイ、韓国の青少年十二人の参加がありました。 
はじめに、海外からの参加者があることから、英語でハロー!韓国語でアンニョンハセヨ!タイ語でサワディーカ!と挨拶の練習をしました。その後、主催者の挨拶があり、「環境」「人権」「戦争」の三つのひろばに分かれ、学習しました。ひろば終了後は、一会場に集まり、「全体のひろば」で、各ひろばの報告を行いました。
 
環境のひろば

「魚を呼ぶ森」斉藤きみ子著(佼成出版社)を元に『ゆうきと海』という物語を作成しました。
この物語は、主人公の父「源じいさん」が「村人はすべて自然とともに暮らしていくべきである」「自然への畏敬を忘れては生きていけない」と村人に訴え続けていたにもかかわらず、村人は欲望の赴くままに自然のサイクル基準を上回った漁獲をしたり、産業の発達にともなう周辺地域の開発によって急激に自然環境が変化した結果、村の荒廃が起きてしまったというものでした。
現在の地球環境問題を解決していく上で、開発をしながら共存共栄できるバランスのとれた生活を目指すことは、重要なポイントです。そこで、参加者には村民の立場で文明・文化の発展による開発をしつつも自然環境破壊を最小限に抑えた村民の取るべき行動を分団討議によって話し合ってもらいました。
参加者の声:平和集会で自分たちの意見が述べられたことは大変よかった。短時間で話し合い、その結果を絵にすることは大変難しい。
                     
人権のひろば

小学校2年生以下の子ども達約20人、保護者15人、ハワイから4人、タイから2人が参加しました。
ひろばは、紙芝居から始まります。
内容は、ある国に、神様からそれぞれ〈力〉〈知恵〉〈笑い〉というアイテムをもらった3人の若者が仲良く暮らしていました。しかし、そのうち自分のアイテムが1番偉いと仲違いを始めます。
そのころ国のはずれに旅人が倒れていました。3人はそれぞれのアイテムを使って旅人を助けようとしますが、どうしてもできません。3人が相変わらず力を合わせずにいることに怒った神様は…。思わず紙芝居の中から飛び出してしまいます。そして、紙芝居を見ていた子ども達に、3人に代わって旅人を助けてくれるよう神様が頼みます。
子ども達は、力、知恵、笑いの3つのチームに分かれ、旅人を助けるために力を合わせて難関に挑みます。
力のチームは旅人を水場に運び、知恵のチームは水場の鍵を得るためにしりとりに挑み、笑いのチームは水に魔法のパワーを与えるために神様を笑わせました。そうして手に入れた水を飲んで、旅人は元気を取り戻します。
旅人は、「私の国はみんなの気持ちがバラバラになっていて、それが嫌で…」と旅の訳を話し始めました。そして、「みんなが力を合わせる姿、応援する姿は素晴らしかった。その応援のパワーを私の国にも分けてください。そのパワーで私の国を立ち行かせたいのです」と続けました。
その後、それを受けて子ども達は応援の気持ちを込めて旗を作りました。旗には、みんな仲良くや、旅人さんガンバッテなどメッセージが書き込まれていました。
このひろばでは、子ども達にどう人権を伝えるのか考えました。「仲間はずれにしない」「いじめない」なども大事です。が、このひろばではもっと基本的な、人を活かしていく心を培って欲しいと願い、「相手を信じる」(相互理解)、「人を応援する」(他者尊重)という言葉をもって子ども達に伝えることにしました。全体発表ではみんなでハチマキを締めて、作った旗を振り、旅人、参加の人たち、そして自分達を応援しました。

戦争のひろば

小学校3年生から6年生までの子ども達13人、ハワイから4人、大人約60人が参加しました。
 まず、「涙のハッピーセット」という紙芝居を参加者全員で鑑賞し、戦争が起こるプロセスについて学びました。この物語は、小さな国を力で押さえ込んで同盟を組もうとする大国「ハンバーガー王国」と、それに対抗するために軍備を拡張し、かたくなになっていく小国「ポテト王国」が、対話の道を開くことなく戦争に突入し、全てを失っていくというものでした。子供たちは、ハンバーガー王国、ポテト王国、そしてハンバーガー王国に全面的に協力するジュース王国の国民になって、ディスカッションを行い、「なぜ戦争が起こってしまったのか」「どうしたら戦争のない平和な世界を作ることができるのか」を話し合いました。
ディスカッションの途中、参加者全員で沖縄戦の実写フィルムとイラク戦争の被害を受けた人々の写真を見ました。想像を絶する戦争の現実に触れ、涙を流す参加者もありました。子ども達もその悲惨さに衝撃を受けたようです。
子ども達からは、平和な世界を作るためのアイディアとして「コミュニケーションをとれば信頼関係ができ、平和になる」「未来のことを想像すれば、平和の大切さが分かる」「人それぞれの違いを大切にしよう」「人の命の大切さを考えよう」などが提案されました。子ども達は、この話し合いを通して、平和実践に地道に取り組んでいくことの大切さを学びました。
大人は3つのグループに分かれ、紙芝居の感想や戦争について考えました。懇談では戦争とは悲惨なもので次なる悲劇を生むものである。戦争を起こさないためには他人を思いやり、認める心が大切である。また今一度「金光教宣言」をしっかり頂くことが、私たちにできる平和な社会をつくる第一歩ではないだろうか。などたくさんの意見がでました。