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「新しい家族のかたち~現代をサバイバルするための親子論~」

 金光教東京センターは2004年11月27日、文京シビックセンター・スカイホール(東京都文京区)で評論家の芹沢俊介氏を招き、こんこう文化講座を開催した。
 同講座は、その時々の社会が抱える問題や課題をテーマに、各分野の専門家を招いて毎年開催されているもの。
 講師の芹沢氏は、文芸、教育、家庭など、幅広い分野で評論活動に取り組まれ、現在では、現代の家庭や学校の問題について独自の視点で分析を進められている。「新しい家族のかたち~現代をサバイバルするための親子論~」を講題に次のように述べた。


 講師は、神戸児童殺傷事件、長崎児童殺人事件、最近相次いで起こった水戸や土浦の事件にも触れながら、少年犯罪の傾向について、これまでの少年犯罪や子どもの犯罪は集団で起こすのが特徴であったが、単徳で起こす事件というのは少ないんですけど、非常に目立つようになってきた」と近年の少年犯罪の特徴を説明し、その背景として、「家族の教育家族化(子どもを教育することが目的化してしまった家族)によって、学校だけでなく家庭の中でも、常に子供たちが、比較、評価、位置付けという眼差しを向けられ、教育家族のあり方が強くなれば強くなるほど子どもは家庭で自分の居場所を感じることが出来なくなっている」と近年の教育熱による教育家族化の現状について説明。
 「日本の家族は、ほぼ教育家族化している。問題は教育家族化の度合いの違いだけであり、その中でいい子を演じてきた子というのは、ある境に不登校や引きこもってしまうという可能性がある。教育家族化の度合いをチェックすることにより、人と比較したり、評価したりという眼差しをなるべく遠ざけ、その子をありのまま受け止めていく。そして、引きこもりや不登校は教育家族化の中でいい子を強いられてきたひとつの現れだと考え、自分がこの子にこういう状態を作ってしまったのかも知れないと内省が出きれば、家族関係は確実に和らいでいきます」
 さらに、不安増減法によって「見捨てられ不安」が強い子ども達が増えている現状にふれ、「わがままを言わない子がいい子だとされているが、わがままを言わないということは、その子にとって自分が自分であるという感覚があまり根づいていないということ。存分にわがままが言えて、そのわがままをしっかりと受けとめていけるキャパシティーを親が持つ事が必要」とし、「子育てをしているお母さんが自身が不安であって、その不安を持ったまま子育てをしているために、子どもにいろんな要求をしてしまっている。子どもの親が、親として、子どもの受けとめ手としてきちっとなれるためには、親がまず受けとめ手を欲しがっている。それは、夫であったり、ざっくばらんに相談できる友達であったり、地域であったりと、そういうものが益々必要な時代になってきている。それが無いと家族は、もろくて崩れそうになっているのではないか。新しい家族の形ということで提示する事はとても難しいのですが、今の家族のあり方を一つ一つ点検することによって、より豊かな家族の形を作っていく事は可能ではないかと思う」と締めくくった。

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