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第20回 金光教東京平和集会

開催テーマ 「実践」
日時:2002年7月21日
場所:日本教育会館・千鳥ヶ淵戦没者墓苑
内容:子どものひろば「異文化体験空間~カンボジア探検隊~」
プラティープ・ウンソンタム・秦氏講演会「地球平和への大志ースラムの子どもたちと共に歩んでー」
祈りの集い、教内NGO活動紹介


 今年20回目を迎える金光教東京平和集会(金光教東京センター主催)が7月21日(日)、千鳥ヶ淵戦没者墓苑~日本教育会館一ツ橋ホールにて開催された。これまでは、平和ならざる諸問題を「環境」「人権・差別」「戦争・紛争」と要因を種類分けし、参加者と共に学習を中心に取り組んできたが、今回はこれまでの取り組みを総括し「平和実践」をテーマに開催。
 例年とは違い、千鳥ヶ淵戦没者墓苑での祈りのつどいからはじめられ、午後からは、日本教育会館一ツ橋ホールに会場を移し、アイラブオール公開講演会(金光教東京センター・金光教東京都教会連合会共催・タイ王国大使館後援)と子どものひろばが開催された。
 千鳥ヶ淵戦没者墓苑での祈りのつどいでは、吉備舞の奉納、献灯、献歌・献水、黙祷、主催者あいさつ、「平和の祈り」奉唱が行われた。献灯は吉備舞の中で行われ、講師のプラティープ・ウンソンタン秦氏から手渡された灯火が、舞人によって供えられた。
 公開講演会では、「地球平和への大志 ―スラムの子どもたちと共に歩んでー」と題して、タイ王国上院議員であり社会福祉活動家のプラティープ・ウンソンタム秦氏が講演。夫である秦辰也氏(シャンティ国際ボランティア会(SVA)国際総局長)が通訳をつとめた。参加者は280人。
 講師のプラティープさんは、1952年にタイのクロントイ地区のスラムで生まれ、6歳の頃から路上での物売りや船舶の掃除などをして、働きながら学校へ通われた。1968年、16歳のとき、「教育こそ生活を大きく変える原動力になる」と思い立ち、貧しくて学校へ通えない子どもたちが少しでも創造的な時間を過ごせるようにと、自宅の一室を開放して「1日1バーツ学校」をはじめられた。その後、学校に通ってくる子どもたちは次々に増え、金光教有志(クロントイの会他)による支援によって、新しい場所に学校を建てることができ、現在では公立の小中学校となって約1400名の生徒が学んでいる。
 1978年には、この活動が世界的に高く評価されることとなり、アジアのノーベル賞と言われるマグサイサイ賞を受賞され、そのときの賞金を投じて「ドゥアン・プラティープ財団」を設立、その後は教育を活動の中心に据え、スラムの人々の生活改善を目指して様々な活動に取り組んでいる。
 講演では、はじめにスライドを用いて、スラム地区が形成された背景やスラムに住む人々が抱える問題、加賀博人先生を通しての金光教との出会い、財団の設立の経緯について解説。その後、金光教平和活動センターを通して支援している、モンバイ・スラム、マカタイ・スラムにおける保育園の設営、教育里親制度、教員養成のための奨学金支援、人材育成事業について説明した。
 また、今日の国際社会における大きなテーマとして、経済の動向と安全保障の二つをあげ、昨年の同時多発テロが発生して以来、世界の国々でテロ対策のために様々な法律や規則が施行されだしている中で、「今日の社会がこうした過激な問題に対して、その原因となる根本から解決しようとしているのかが疑問」と語り、こうした不安定な世の中を作り出す原因として、「社会的な公平性の欠如」「異文化や違った価値観を差別し、理解しあわない」「貧困問題」の3点を指摘した。
 そして、平和構築のための第一歩として、「私たちが一人ひとりの心を鍛えて、そして努力することによって相手を傷つける心を抑え、相手を許し、自律心を持つことが大切です。そして私たちの心をより寛容にし、異文化、あるいは違った価値観を許容できるような、広い心を持った人間にならなけばなりません。平和活動を広めるということは、まず、自分自身の心を平和にし、それを他人へと広め、社会へ広げていくということになる」と語った上で、「今日の教育と宗教は、果たして私たちに、『真の平和とは何か』ということについて示してくれているでしょうか。今日の教育カリキュラムについて思うことは、平和とは何かというテーマに対して真正面から取り組み、知識だけではなく、考え方や違ったものに対する受け止め方などについて教え、どうやって地球の人々が共に生きていくべきかを考えていく必要があります。お互いが理解し合うことは、私たちはみんな友人であり、兄弟であるということを知るということから始まっていくのではないでしょうか。私たちは、この地球上に生まれた同じ人間として生まれ、老い、痛み、そして死という、そういう瞬間を共有しあっている生き物であります。これらのことは、いくら自分だけが違うといっても逃げられない問題であり、大変重要なことです。したがって、私たちが価値のある人生を送るということは、自分から得るということよりも、人に与えるということに対して価値を見出すことではないかと思います。私たちすべての人間が強い信念をもって生き、それを実践していくということができれば、必ず心の平和が訪れるだろうと信じます」と語った。
 講演会と同時進行で、「子どものひろばー異文化体験空間~カンボジア探検隊~」が日本教育会館4階で行われ、保護者を含めて26名が参加した。
 子どもたちは、カンボジアからの留学生ホンさんとボパーさんから、カンボジア語の「こんにちは」「ありがとう」などの言葉を教えてもらったあと、カンボジアの遊びを体験。丸くなって「サイ」と呼ばれるバトミントンのシャトルコックを大きくしたようなものを蹴って下に落とさないようする遊びを楽しんだ。