新型コロナウイルス感染症により亡くなられた方々の霊(みたま)のお道立てと感染された方々の回復、感染拡大の速やかな終息をご祈念申し上げます。そして、新型コロナウイルス感染症に立ち向かわれている医療従事者の皆さまに感謝申し上げます。

第33回 金光教東京平和集会

開催テーマ 「戦後70年 私たちが語ろう、戦争の記憶を!!」
日時:2015年7月19日
場所:金光教館・千鳥ヶ淵戦没者墓苑
内容:大人のひろば(クイズと劇「私のお兄さん」)、子どものひろば(アニメ鑑賞)、平和行進、戦争死者慰霊・平和祈願祭

2015heiwa.png


 金光教東京センター(大木光雄所長)は7月19日、金光教館(東京都千代田区)と千鳥ヶ淵戦没者墓苑を会場に、「戦後70年 私たちが語ろう、戦争の記憶を!!」をテーマに第33回金光教東京平和集会を開催し、約200人が参加した。
 今回は、戦後70年という節年を迎え、戦争体験者が稀少になり、戦争体験談を聞いたことがない若者が多くなっていることを踏まえて、それぞれが戦争の記憶を後世に伝える平和実践の担い手となるべく、各ひろばを通して考える内容となった。
 大人のひろばでは、戦争を支える論理を政治と経済の視点から、「主権線・利益線」をキーワードにクイズ形式で解説。主権線とは国境を意味し、利益線とはこの主権線の安全保障に関わる重要な地域を意味する。つまり利益線とは主権線を守るための重要な地域であり、そこから資源調達や利権を獲得し、利益線を押さえることは敵国の進出ルートの遮断や経済ルートを封鎖する意味もあると説明し、「社会の閉塞感や不安感を背景に危機感や不安を煽る挑発的な言説に流され、排外的な風潮が強まり、戦争体験者の方たちから「今の雰囲気が戦前社会に似ている」との指摘もある。それは、安保法制論議にも見られるように自衛のために「平和安全法制整備法」「国際平和支援法」など、耳障りのよい言葉の中身を深く考えないでスルーしてしまっているからではないか。「自衛のために主権線と利益線が必要だ」と始めた戦争が、やがて侵略戦争となって自らの国を滅ぼした。この教訓に学べば、私たちは表面的な言葉だけに騙されてしまってはいけない」と戦争に至る論理と歴史的背景について説明があった。
 続いて寸劇では、千鳥ヶ淵戦没者墓苑を舞台に東京大空襲で亡くなった兄の霊と、生き残った妹、妹の通う教会の先生との三者の視点から、それぞれ戦争のもたらす悲しみについて語っていく「私のお兄さん」が上演された。
 そして最後に辻井師から、戦艦ミズリー号上で行われた降伏文書調印式に随行していた大本営陸軍部作戦部長・宮崎周一中将が敗戦の直前に長野の実家に帰った際、「戦争は大河の濁流のようなもの、誤りに気付いたらその場で直し、1人になっても反対しなさい」と家族に語ったことを上げ、「いったん濁流になったらもう誰にも止めらない。現在の状況は濁流の起こる兆候ではないか。私たちはここを教訓とする必要があり、一人ひとりが歴史を形成している主体として、過去より未来を少しでもよりよい社会にしていくために、先の戦争の本質、真実を追求し、作られた言葉や情報、物語にとらわれずよく勉強して、本音、本当のところで自分の言葉として戦争の記憶を次世代に語ってもらいたい」とまとめた。
 子どものひろばでは、東京大空襲を題材にしたアニメ「ふたつの胡桃」の鑑賞や戦時中の人達が食べていたとされる乾パンなどを食べ、当時の人たちの思いに寄り添いながら、戦争の悲惨さや平和の大切さを学んだ。
 その後、参加者は千鳥ヶ淵戦没者墓苑に向けて平和行進。世界平和を願うシュプレヒコールを上げ、道行く人に平和の尊さをアピールした。
 千鳥ヶ淵戦没者墓苑では、大木センター所長の祭主のもとに戦争死者慰霊・平和祈願祭が仕えられ、平和ならざる状況のもとに尊い命を終えられた総ての御霊様の立ち行きと、平和を祈る総ての人間が総氏子身上安全世界真の平和達成の御神願御成就のお役に立たせてくださいと祈りを込めた。そして、献水・献花に続き、戦争死者慰霊・平和祈願の詞を奉唱した。
 祭主を仕えた大木センター所長は、「御霊様の声を聞かせて頂きたい、との願いで慰霊祭をお仕えさせて頂いた。私には子ども達の笑顔を絶やさないでくれと御霊様がおっしゃっているように聞こえた。二度と戦争、過ちを繰り返さずに、世界の子ども達がいつでもどこでもこの世に生(せい)を賜ってよかったといってくれるような社会を築いていく責任があると改めて感じている。この集会を通してこれからみなさんが信心の実践として人を助けていく、人が助かるということを真摯に求めさせて頂きたい」と挨拶した。