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第31回 金光教東京平和集会

開催テーマ 「『原発』を考える」
日時:2013年7月21日
場所:銀座教会
内容:大人のひろば(発題とチェルノブイリ・ハートの鑑賞)、班別懇談、子どものひろば、平和祈願祭

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 金光教東京センターは7月21日、東京都銀座教会で(東京都中央区)で「『原発』を考える」をテーマに第31回金光教東京平和集会を開催し、150人が参加した。
 今回は東日本大震災にともなう原発事故をとおして、今日でも私たち一人ひとりにとって大変大きな課題となっている原発問題を取り上げ、信仰を持つ者としてこの問題をどう捉え、どう考えていくかを求め合った。
 大人のひろばでは、現在、電機メーカー関連会社で、電力会社からの原発の再稼動申請に向けた安全評価に携わっている山本朝男さん(茨城県水戸教会輔教)が「原発を考える」と題して発題。原発の再稼動反対、脱原発・反核という信念と原子力技術者としての立場との矛盾や葛藤を抱える中で、次のように述べた。
「原発問題は、原子力エネルギーを人間が便利で快適な生活のために利用することから起こってくる問題である。 科学・技術だけの問題にとどまらず、副産物である放射能に関る環境問題、エネルギー政策の問題、核兵器との関りから平和・軍事・外交問題、さらには被ばく労働者に関る人権問題など、政治、社会、経済、倫理の問題にまで広がり、それらが複雑に絡み合って、人間にいろいろな難儀をもたらす平和ならざる問題ととらえざるを得ない。
 原発の利点と問題点について勉強し、理解し、その上で、「原子力のリスクをゼロにすることはできないが、安全性を高めるためにあらゆる努力を払いながら原子力への依存を高め、原子力発電所を作り続けていく」か「エネルギーの使用量を減らし、生活水準を下げても、原子力への依存を減らすか、完全に無くす」。このどちらを選択するかを一人ひとりが考えて議論を重ねていくしかない。
 現在のような贅沢なエネルギー消費が人間の生活にとって本当に必要なものか、多くの人達が疑問に感じ始めている。「便利で快適な生活ばかりを追求するあり方を見直し」、エネルギーの消費量を減らして行く試みこそがエネルギー問題解決の基本だとする意見に、私は賛成である。
 東日本大震災復興祈願詞の中に、私たちのなすべきこととして、「便利で快適な生活ばかりを追求するあり方を見直し、天地の道理に基づく生き方を改めて求め」とある。福島原発事故以来、「天地の道理」とは何かを神様からの課題として考え続けてきた。
 私は、できるところから少しずつ科学技術に頼らない生き方をして、便利で快適な日常生活の中で見えにくくなっている神様のお働きを実感してみたい。自分の都合ではなく神様の都合に合わせた生き方を求めて行くことが「天地の道理に基づく生き方」を求めることではないかと思っている。
 原発事故で被災された方々をはじめ、原発問題で苦しんでいるすべての人々の難儀、苦しみからの助かりを願って、生神金光大神様の御取次をいただきながら、金光教の信心と祈りに基づいて行動し、和賀心に神のひれいが現れての真の助かりを求めて行く。これが、私たちの目指すべき”原発難儀”からの助かりへの道筋ではないか」。
続いて、チェルノブイリ原発事故による子どもたちの健康への影響をフィルムに収めた映画「チェルノブイリ・ハート」をおよそ20分にまとめたものが上映された。
その後、年代別に分かれて班別懇談が行われ、「改めて自分の意見を持つことの必要性を感じた」「原発事故を通して、どう電気を使っていくのか考えるようになった」「いろいろな情報があふれる中、どれが真実なのかを見極める目も必要」「天地の恵みをありがたいだけでなく、恐れ多いものとして頂いていく」「長年お世話になった原発にもお礼を申していくことも必要ではないか」といった感想や意見がだされた。
 子どものひろばでは、電気について学んでもらうことから、身のまわりにどんな電気を使う製品があるかを考えてもらったり、発電キットを使って風力発電を体験。そして、映画「風の谷のナウシカ」を鑑賞した。
 各ひろば終了後、平和祈願祭が仕えられ、祭主の松本光明東京センター所長は祭詞で、これまでの天地へのご無礼の数々をお詫びし、今なお世界で続く戦争・紛争に亡くなられた御霊様達の助かりと立ち行きを願い、人と人とが助け合うことで神も助かる道開ける御神願成就のお役に立たせてくださいと祈りを込めた。そして、平和の祈りを奉唱して世界の平和と人類の助かりを祈願した。