●先生のおはなし
 「ツイてない日なんて、ない!」


金光教仙台南部教会
西川浩明先生


(ナレ)おはようございます。パーソナリティーの岩ア弥生(いわさきやよい)です。
今皆さんは、どこでこのラジオを聞いてくださっていますか? まだ朝の早い時間ですので、お布団の中から、あるいは、もう動き出して、車を運転しながらラジオを聞いてくださっている方もいらっしゃることでしょう。今日は、車の運転中、「ヒヤッ」とした体験を通して大切なことに気付かれた方のお話です。
 宮城県、金光教仙台南部(せんだいなんぶ)教会、西川浩明(にしかわひろあき)さんのお話で、「ツイてない日なんて、ない!」

(本文)12月のある朝。「晴れましたね」。私は、先に待ち合わせ場所に着いていた浜野さんたちに声を掛けました。
 「そうだね。でも、先シーズンの雪はすごかったから油断はできないよ」
 「ちゃんとスタッドレス履いてますから、大丈夫ですよ!」
 その日は仕事で、私の住んでいる宮城県仙台市から岩手県盛岡市まで、片道約160キロの道のりを、車で日帰りすることになっていました。暖冬を思わせる青空の下、私と浜野さんたちを乗せた車は、予定通り仙台を出発しました。
 走り出してまもなく、信号のない丁字路で右折しようとした時、浜野さんが突然、「ストップ!」と大きな声を出しました。すると、クラクションを鳴らしながら目の前を走り去る車。私の確認が不十分で、危うく左から来た車にぶつかるところだったのです。
 「すみません!浜野さんが教えてくれなかったらぶつかってました。ありがとうございます」
 「いやいや。先は長いから、安全運転で頼みますよ」
 私は、気を取り直して慎重に運転し、無事盛岡に着きました。
 仕事を終え、夕方。曇り始めた空を見ながら、「山間部は降ってるかもね。疲れたら交代するから、いつでも言ってよ」と、後部座席の井口さんが声を掛けてくれました。「大丈夫ですよ。井口さんこそお疲れでしょう。寝ていてもいいですからね」と話しながら、インターチェンジでETCゲートをくぐった途端、警察に停車させられました。
 「こんにちは。後ろの方、シートベルトはされていますか?」「あ、今します!」と井口さん。しかし、時既に遅し。「ゲートをくぐったらもう高速道路ですので、後席シートベルト装着義務違反で違反点数1点になります。運転手の方こちらへ…」と無情な宣告が。
 日も暮れ、雪がちらつき始めた頃、仙台の街の明かりが見えてきました。インターチェンジのETCゲートをくぐろうとすると、今度は前の車が急停車。「危ない!」。もう一人の同乗者、船山さんが思わず叫びました。が、幸い速度を十分落としていたので、ぶつからずに済みました。
 「トラブル続きの道中だったけど、事故にならなくてよかったよ。お疲れ様でした」
 「すみませんでした」
 「家に着くまで気を抜かないでね」
 「はい、皆さんもお気を付けて」
 みんなと別れ、家に帰り着いた私は、「ああ、疲れた。立て続けにあんなことが起こるなんて、ツイてない日だったなあ」とぼやきながら、カバンからしわくちゃの違反切符を取り出しました。そこで、ふと心を落ち着けて考えました。
 「待てよ。今日のことは、自分の不注意から起きたことだ。ツイてなかったで済ませるのは、何か違うんじゃないか」
 そう思い直すと、私は違反切符のしわを伸ばして、家の、神様を奉ってある神前にお供えしました。すると、自分の不注意をわびる気持ちが自然と湧いてきました。
 「神様、今日は私の不注意で交通トラブルに見舞われました。同乗者にも怖い思いをさせてしまいました。そして、それをツイてなかったのだと、あなたのせいにしてしまうところでした。申し訳ありません」
 冬の東北、雪、高速道路、軽自動車に4人、長距離の日帰り。そこには、どれほど多くの危険が潜んでいることでしょう。ちょっとの油断、少しのタイミングや状況の変化によって、思わぬ事故につながることが現実にあるのです。
 翌日、スマートフォンで何気なくニュースを見ていた私は、はっと息をのみました。昨夜、東北道上り線で、ちょうど私たちが通った後くらいに、トラックと乗用車3台が絡む大きな事故があったというのです。
 事故はいつなんどき、誰に起こるか分かりません。私は、昨日のことを「ついていない」と思うのではなく、いつでも心を落ち着けて、気を付けながら運転できるよう、神様に日々お願いすることの大切さを、トラブルを通して教えてくださったのだ。「よく気を付けよ」との神様からのサインだったのだと、はっきりと分からされたのです。
 私は神前に向かい、手を合わせ、事故に遭われた方々のことをお祈りし、私自身、大事なことに気付かせていただいたことを神様にお礼申し上げました。

(ナレ)いかがでしたか。
 トラブル続きで、ツイてないと思ってしまえばそれまでですが、一つひとつの出来事は、「大丈夫か?」という神様からのサインだったんですね。そう考えると、「朝からツイてないなあ」と思った出来事も、きっと意味のあること。ここからのあなたの今日の一日が、ツイてる一日、神様がついている一日でありますように。

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