●先生のおはなし
 「芸能界での失敗体験」


金光教本部
金光浩道先生


(ナレ)おはようございます。パーソナリティーの岩ア弥生です。
 突然ですが、あなたの趣味は何ですか? その趣味で好きなことが、自分の職業にできたら、こんな幸せなことはありませんね。でも、それができる人は、ほんの一握りのことでしょう。ましてや、競争の激しい芸能界で生き延びるには、いろいろな試練があるように思います。
 今日は、好きなギターで、身を立て、芸能界で活躍した経験のある方のお話です。岡山県、金光教本部在籍、金光浩道先生のお話で「芸能界での失敗体験」。

(本文)私が東京でバンド活動の仕事をしていた頃の、失敗談をお聞きいただきたいと思います。
 私は小学5年生の時に、祖母から誕生日プレゼントにフォークギターをもらい、少しずつギターを弾くようになりました。そして中学2年生の時に同級生からバンドに誘われ、高校卒業まで3人でバンドを組んでいました。高校卒業後は3人もバラバラになり、私は東京へ出させていただきました。
 私が加入することになるプロのバンドとの出会いは、友達が、渋谷にある楽器屋でアルバイトをしていて、ちょうどそこに出入りされている音楽事務所の方から、所属バンドのギタリストが抜けたのでギタリストを探しているという話があったらしく、その友達が私のことを強くプッシュしてくれたのです。オーディションのような形で、「一回遊びに来てください」と言われたので、ギター1本持って行かせていただきました。一緒に音を出して、方向性が合っているということを分かっていただいたというか、音で意気投合できまして、「じゃあ、一緒にやろうか」と言っていただきました。そして、いきなり次の日から待っていたのは、毎日、毎日のリハーサルでした。
 最初のうちはメンバーそれぞれが他に仕事を持っていて、私もアルバイトをしながら、日々リハーサルをしていました。そしてライブ活動を重ねていくうちに、業界の方も見に来てくださるようになり、芸能界でも相当大きな事務所の社長さんに気に入っていただき、業務提携をさせてもらえることになりました。そのおかげでテレビ・ラジオ・雑誌など露出も増えまして、多くの方々に聴いていただけるようになりました。
 テレビの影響はホントすごいです。ボーカルの女性もドラマに出演させてもらったり、ライブ会場もライブハウスからホールへと規模も大きくなり、チケットの値段も上がっていきました。オリコンの上位一ケタにも入るようになり、本当に調子よく、乗りに乗って売れ始めてきた頃に、調子づくどころか、調子に乗ってしまう出来事が起こってしまいました。
 芸能界というところは、売れ始めますと、どこからともなくいろんな船頭さんが出てきまして、「うちでやりたい」とか「移籍をしないか」とか、「独立したらどうか」だとか、いろいろな話をもらったんですね。若いし周りもよく見えていなかったんでしょう、調子に乗って多少テングになっているものですから、独立という話に乗っかってしまいました。その独立の話を進めるのに、簡単に言うと、順序を間違えてしまいまして、業務提携してくださっている事務所の社長さんに多大な迷惑を掛けてしまい、さらには所属事務所も辞めてしまうという、最悪の状況に陥ってしまいました。まあ干されるというほど売れてはいませんでしたが、3年ほどは活動停止状態になってしまいました。
 今思うと、結局は、「元を大切にしていなかった」ということが一番の問題だったと思います。バンドの生みの親であり、バンドを一から育ててくださった所属事務所に対する感謝の気持ちをすっかり忘れて、自分たちで何でもできると勘違いして、調子に乗って物事を進めてしまったということです。やはり生みの親に対する感謝の気持ちは、常に持っていなくてはなりません。自分の元を大切にしないと、万事うまくいかない道理であります。物事を進める順序が違ってきますからね。
 本当に大きな失敗で、多くの方々に迷惑を掛けてしまいましたが、大事なことを学べた機会でもあったと思います。自分の命の元は親様であり、ご先祖様であり、その先の大本である天地の親神様の働きによって生かされている命であります。そのゆるぎのない真実、自分のルーツ、元のところを常に忘れないように心掛け、物事を進める順番を間違えないようにしたいものだと思わされます。

(ナレ)いかがでしたか。
 芸能界、というと動くお金も桁違いで、特別な世界のような気がしていましたが、大切なところは、どこの世界も同じなんですね。誰しも、身の丈以上のことに、初めは心配や不安で一杯なのですが、上手くことが進んでいくと、つい傲る気持ちが出て、大切な元となるところを見失いがちです。そんな時こそ、一旦立ち止まって、「元は、何なのか?」「順序は間違っていないか確かめてみる」、心にとめておきたい言葉です。
 そしてまた、自分のルーツ、元となるところを忘れないという道理に合った生き方をすることが、親様、ご先祖様、天地の親神様が安心してくださり、喜んでくださる生き方なんだと感じるお話でした。

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