シリーズ「あなたへの手紙」第3回
●同性愛者の息子/がんを治療しない妻

金光教放送センター



 おはようございます。兵庫県、阪急塚口教会の古瀬真一と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
 最初は、大阪にお住まいの40代男性からのご質問です。
 「高校生の息子から、自分は同性愛者だと打ち明けられ、正直、戸惑っています。金光教では、同性愛をどのように考えていますか?」
 このような内容です。

 これまでお子さんの成長を見守り、祈ってこられたお父さんにとって、カミングアウトは青天の霹靂の出来事。どう受け止めたらいいのか、どう接して行けばいいのか、考えあぐねておられるのですね。
 私はこれまで、同性愛の方を含め、性的マイノリティの方と実際にお目に掛かったことがありません。今回の放送を担当することになり、「私なら、どうするだろう」と考え続けています。
 「金光教では、同性愛をどのように考えていますか」とのご質問でしたね。金光教の教祖、金光大神は、江戸時代の終わりから明治の初めにかけて生きた方です。その、金光大神の残した教えには、性的マイノリティーについて直接触れたものは伝わっていないのです。そこで、人間を信仰的にどう見るかに関わる金光大神の教えを見ていくと、「一人ひとりの人間は、みな神様の命を分け与えられた、愛しい、大切な神様の子どもである。一人ひとり、神様のお働きを受け通して生きている掛け替えのない命なのだ」と、人間を捉えていることが分かります。誰もが皆、大切な神様の子なのですから、人種や生まれたところ、国籍、宗教、学歴、職業、性別などによって差別されるようなことがあってはならないと述べています。音楽にしろ、食べ物にしろ、好みがそれぞれ違うように、性の在り方にも幅があるのだと捉えたら分かりやすい。そう私は思っています。
 ですが、考え方はそうだとしても、本当に教えにあるような心持ちで実際に接することができるだろうかと、不安になってしまいます。もしかすると、質問してくださったあなたも、息子さんへの向き合い方が見出せず、苦しい日々を送っておられるのかもしれません。
 一人ひとり違うことだらけの人間ですから、言い争うこともある。でも、仲直りもできる。そんなふうに折り合う心を、神様が授けてくださっていますよね。「互いに尊重し合って暮らせますように」という祈りを持ち、それを叶えるための努力をこつこつ重ねていくことを忘れなければきっと大丈夫だと、私は信じていこうと思います。ご参考になさってください。

 続いては、50代の男性からのご相談です。
 先日、妻が検診に行ったところ、乳がんが見付かり、ステージ3だと診断されました。妻は以前から、「無理に長生きはしたくない。もしも自分にがんが見付かっても積極的な治療はしない」と言っていました。今回、妻はその宣言通り、「治療はしない」と言っています。私は、きちんと治療をして、もっと生きてほしいと願っており、妻の思いをどう受け止めていいか分かりません。どうすればいいでしょうか。
 このような内容です。

 人生の伴侶である大切な人に、重い病気の診断。そして、「生きてほしい」と願うあなたの思いを拒むような奥様の決意。本当におつらいことと思います。この放送をとおして、ご夫婦の上に光が射すことを願いながら、お話しさせていただきます。
 早速ですが、奥様が、診断を受けられた後もなお、「治療はしない」と言われるのは、なぜなのでしょう。「薬や放射線、手術に抵抗を感じるから」、「治療に耐える自信がないから」、「与えられた時間を治療以外のことに使いたいから」などなど、いろいろと想像してしまいます。
 表面的には取り繕っておられても、もしかしたら奥様は、まだまだショックの最中にあって、病状を受け入れ切れておられないかもしれない。これからのことを冷静に考えられるほどには落ち着いておられないかもしれないなと、多くの人の悩みを聞かせてもらってきた私には、そんな気もするのです。
 「治療はしない」という奥様の思いを受け止められないでいるあなたが、「治療を受けてほしい」と主張するだけでは、ただ意見が対立してしまうばかり。それでは、お互いにもっとつらくなってしまいますよね。
 治療を受けるにせよ、受けないにせよ、お二人は、お互いを思いやり合いながら、奥様の病気という状況を、共に生き抜かなければなりません。ですから、今はまず、この厳しさを乗り越えて生きていくチームになることを目指してほしいと思います。
 こんな時だからこそ、金光教の教会で、ご夫婦それぞれが、そっと静かに神様に祈ったり、教会の先生に整理のつかない思いを受け止めてもらう。そうすることで、二人で進もうと思える新たな道筋が、見えてくると思うのです。お体の具合が許せば、金光教の教会を訪ねてみてください。お二人の心がそろっていくようにと願っています。
 これまでも、今の厳しい毎日も、掛け替えのない命を授かって生きている。時々刻々、そうして生かされていることを喜び合える、素敵なお二人になれますように。


 


 


 

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