VOL.4



赤色革命余話 ―露西亜小児団輸送記―
茅原 基治 著


『陽明丸』とカピタンカヤハラ

 この本は、1920年(大正9年)、米国赤十字社の要請により、ロシア革命後の内戦下で、難民になった子供800人を、『陽明丸』という船が、ウラジオ ストックからフィンランドまで送り届けたという史実の顛末について書かれた本です。

 この『陽明丸』の船長が、著者の茅原基治(かやはらもとじ)でした。茅原基治は、小田郡北川村甲奴(現岡山県笠岡市)の生まれです。

 明治32年に金光中学に入学、明治36年卒業の第5回生でした。卒業後も、金光中学に年賀状を出し続けたという、実直な人です。

 昭和9年元旦、茅原基治は、当時金光中学初代校長であった佐藤範雄師に、『赤色革命余話―露西亜小児団輸送記―』を贈りました。

 現在、同書は、神徳書院資料として金光図書館が所蔵しています。

 『陽明丸』に救われた800人の子供のお孫さんに、オルガ=モルキナというロシア人の方がいます。モルキナさんの祖父母は、カピタンカヤハラに救われ た、と話していたということです。

 どうしてもカピタンカヤハラの子孫を探し出し、会ってお礼がしたいと、モルキナさんは、サンプトペテルブルクの図書館で「ロシア絵本と篆刻の融合」と 題 する展覧会を開催していた、北室南苑(篆刻家)さんに調査を依頼されました。

 北室さんが、金光図書館の神徳書院資料のなかから、茅原基治著『露西亜小児団輸送記』を探し当て、カピタンカヤハラが茅原基治であることが判明したので す。
 
 ちなみに、茅原基治に直系の子孫はおられませんでしたが、傍系の子孫の中には、金光図書館の旧職員がいることもわかりました。

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