●重たい荷物を一人で背負っていませんか?

金光教三木教会
片島斎弘


 私が奉仕している教会では、お参りに来た方のお話を聴かせてもらい、良い道が付くように神様にお願いするということをしています。
 先日、教会の前を掃除していると、近所に住む60代の女性、道子さんが声を掛けてきました。最初は世間話をしていたのですが、話が展開し、「人が死んだらどうなるのか」という話になりました。
 私は、「姿や形は見えなくなっても、見守ってくださっていると思いますよ」と話すと、道子さんは私に、「ご先祖様は今も生きているんですね」と感想を述べられ、続けてこうおっしゃいました。「実は、今度、腰の手術をするんです。お墓参りに毎週行って、掃除をしているんですが、それが切っ掛けで腰が痛くなったんです。嫁として嫁いだ家のお墓の守を一生懸命してきたのに…。『ご先祖様が来てくれるな』と言ってるのでしょうか?」。そう言われたのです。
 私は、「そんな訳ないと思いますよ。きっと喜ばれていると思いますよ」と話すのが精いっぱいでした。その場はそれで終わったのですが、何か悩まれているような道子さんの顔が忘れられず、お節介かもしれませんが、「重たい荷物を一人で背負っていませんか? 何でもお話聴かせていただきます」という手紙を書きました。
 すると、すぐに、「実は、2年間、重く背負っている問題があるんです」と返事があり、教会に行って話がしたいとのことで、お参りに来られました。
 お話を聴かせて頂くと、実は道子さん、2年前に両親を亡くし、その時弟さんとけんかをして縁が切れてしまったそうです。仲直りする気はなかったのですが、最近になって、亡くなった両親から弟のことを頼まれていたのを思い出したり、腰の手術をすることになって、自分の死を意識するようになって、何とか弟と仲直りしたいという気持ちになった。だけど、今更どうしていいか分からない…と2年間の苦しみを吐き出されたのです。
 私は一通りお話を聴いた後、「お話してくれてありがとうございます。よく一人で辛抱されましたね。つらかったと思います。提案なんですが、弟さんに手紙を書いてみてはいかがですか? 仲直りしたいという思いが弟さんに届くように、仲直りできるように、神様にお願いさせてもらいましょう」と話しました。
 道子さんはうなずかれ、こんなこと、誰にも相談できなくてつらかったと涙を流されました。そして、一緒に神様にこれからのことをお願いさせてもらいました。
 すると翌日、道子さんが教会に駆け込んで来られ、「とっても不思議な展開がありました」と話されます。続けてこうおっしゃいました。「実は昨日、帰って手紙を書いていると、2年ぶりに友人から電話があったんですよ。その友人は弟とも仲がいい人なんです。その友人にね、弟と仲直りしたいって伝えたら、その友人は、『僕が中に入ってあげる』と言って、弟に連絡してくれたんです。そしたら、弟もこのままではいけないと思っていたらしく、『ぜひ仲を取り持ってほしい』とその友人に頼んだそうなんです。お参りしてすぐのことだったんで、本当にビックリしました。神様のお計らいとしか考えられません。本当にありがとうございます」とお礼を言われたのです。私も展開の早さにびっくりしましたが、とてもありがたく思い、一緒に神様にお礼を申し上げました。
その後、道子さんが手術の為に入院した時、弟さんがお見舞いに来られ、今ではけんかしていたのが嘘のように仲良くしておられます。
 それからも道子さんは、事あるごとに教会にお参りに来るようになりました。そんな中、道子さんは、ある教祖様の教えに出合いました。それは、「信心しながらも、次々に不幸せが重なると、『何かのしわざではないでしょうか。何かの罰ではないでしょうか』と言う人がいるが、どうして、神がかわいいわが子に罰をお当てなさろうか。…今までとは心を改めて信心をすれば、不幸せがおかげになってくる」というものでした。道子さんは私に、「ここにお参りに来る前は、『お墓参りに行っているのになぜ腰が痛くなるのか。先祖が来てくれるなと言っているのだろうか』と思ってましたが、手術という一大事がなかったら、私は弟と仲直りをしたいとは思わなかった。今は、弟との仲直りのためだったと感謝できます」と笑顔で話してくれました。
 私は、道子さんとの出来事を通して、神様は私たちにいつも寄り添い、あの手この手を使って助けてくださるんだと改めて思いました。
 金光教の教えには、「神様は、人間を救い助けてやろうと思っておられ、この他には何もないのであるから、人の身の上に決して無駄事はなされない」というものがあります。ですから、私たちが出合うつらいことの中にも意味があり、「神様は私に何を言いたいのか」と、神様からのメッセージを受け取る心も大切だと思います。
 とは言え、人間ですから、つらくて仕方ない時があります。そんな時、一人でその問題を抱えていてはしんどいです。どうぞ、つらい時はお気軽に、近くの教会に駆け込んでみてください。きっと道子さんのように、助かりの道が見えてくると思います。
 重たい荷物、一人で背負っていませんか?

 


 

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