●今、天地の開ける音を聞いて目を覚ませ

金光教放送センター


ナレーション
岡山にある後楽園は三名園の一つです。今日は、そのすぐそばにある金光教岡山教会に参拝する小林芙美子(こばやし・ふみこ)さんのお話を聞かせていただきます。


小林
 信心というと、何かお行儀良く気をつけして、地味というか質素にというか、そういうイメージがあると思うんですよ。だけどそれはかえって良くなんじゃないかと。私自身もそんな地味にしたくないし、いつまでも死ぬまでおしゃれしたいなという気持ちがあるから、自然にしてるんです。


ナレーション
小林さんは85歳。父親は日本画家の池田遙邨(いけだ・ようそん)さんです。小林さんは、信心されるようになった切っ掛けを次のように語ります。


小林
 父が絵描きなんですよ。日本画で日展に属していて、芸術院賞をもらっていたんですよ。それからずっと文化勲章まで段階があるんです。芸術院会員いう段階で、また今年も候補に残ったけど、父はそういうことは一切もう…。「わしはあんなもんいらん」という感じだったんですけど、父にそういう気はなくても美術評論家とか周りの画商さんとか、そういう方たちが、「今度はあんたの番や」とか、周りが騒がれる。そういうので、父も心をとらわれんように思うんだけど、どうしてもちょっとこうね…揺れ動いたり、そんなんで神経をすり減らしますし、かわいそうだなみたいな感じだったんですよ。


ナレーション
お父さんのことで悩む小林さんには、身近に信頼できる人がいました。


小林
 私の仲のいいお友達が金光教の信者さんだったんですよ。金光教はどういう宗教だとか何にも言われなかったんです。「ああ、明日は大祭やからお参りしてこよう」というような。「ああ、この人、金光教だったんだな」という、そんな程度だったんですけど、その方、子どもが幼稚園の時からの友だちで、誠に実意丁寧で、本当に温かいし、こんな人が世の中にあるんかというような方だったんですよ。その方、本当に私、尊敬してたんでね。私も父のことを色々と話してましたし。「明日私も連れてって、お参りしてみたいわ」と。「親孝行したいわ」という感じで。そしたらびっくりされたんですけども、「それじゃ、一緒に行こう」と言ってくださって。
 もう何にも私、その頃、宗教のことも分かりませんでしたし、とにかく信用というか信頼で、思わず、「連れてって」という感じになったんですよ。
 先生はその時お留守で、奥様がいらっしゃったんですけど、「どういうことで来られたんですか」と。「やあ、実はおこがましいですけど親孝行したいと思って来たんです」と言うて。「あら、親孝行は神様が一番喜ばれることですよ。おかげ頂かれますよ」と言うて。父のそういう今の状況とか詳しく説明させていただいたんですけどもね。
 それから明くる日から、朝参りを始めたんですよ。それで私は、朝、弱い方だったから、10月の中旬ぐらいでしたかね、「え? こんなまだ真っ暗なんか…」と。寒かったのもありましたし、星が出て、暗闇の中を自転車で15分くらいですかね。旭川の向こう側の土手を走って。その下の道から土手へ出た途端に視界がパーっと開けて、川が流れてる、自然が、空気が、大気が、ゴーッと言うて、何か動いてるいうのを、しんしんと感じてきて、「何これ」っていう感じで、何の涙か知れないけど、何かありがたくてありがたくて、涙が出て涙が出て,自転車走らせて教会へ行ったんですよ。


ナレーション
 その時、岡山教会の朝のお祈りの後、教えについてのお話がありました。


小林
 「今、天地の開ける音を聞いて目を覚ませ」というところ。それをぱっと言われて、うわっと言うか、今通ってきた景色と相まって、もう何か頭をガーンと殴られたような感じで。それで聞いていたら、神様がおられて助かってくれと願ってくださってるというような、そういう、生かされてるというお話。初めてそういう話を聞きましたから。もう何かその、朝のあれと相まって、もう本当にもう、あの感動、衝撃、それは今だに忘れることはないんです。もう、それを聞いてありがとうなって。それで帰る時、教会を一歩出たら、ばっと太陽が…。あんな大きな太陽、見たことがないような…。犬を連れてその辺を散歩してた人らも、「うわー」と言うて、ほんと、特別な太陽だったと思うんですよ。私はまたもう一連のつながりで、もう感動。泣きながら家に帰りました。ありがたくて。何か神様がこの日を私のために演出…そんな言い方あれですけど、私には何かそう思える、演出してくださったいうか…。


ナレーション
 その後、池田遙邨さんは亡くなるまで、自由で温かみのある画風で名作を描き続け、文化勲章を受章し、今、倉敷市美術館にはその多くの作品が展示されています。
 「幸せになるには、なる道がある。教会はそれを教えてくれる所」と小林さんは語ります。
 今日も小林さんは教会にお参りし、家族、友だちのことを祈ります。おしゃれで生き生きとした小林さんの周りには自然に人が集まり、一緒に明るく楽しく信心をしています。

 


 

《TOPへ》