●神様はぼくらのヒットを待っている

金光教麻布教会
松本信吉


 金光教には「わが子のかわいさを知って、神が人間をお守りくださることを悟れよ」という教えがあります。
 おはようございます。東京・恵比寿にあります金光教麻布教会の松本信吉、50歳です。
 さて、私には2人の子どもがいます。中3の女の子と、小5の男の子です。小5の男の子は今、少年野球に夢中です。
 実は、この子は、1歳10カ月の時に大やけどをして、1カ月の間、入院をしたことがあります。台所で妻が来客用のコーヒーを煎れていました。カウンターの上にはポットに熱々のコーヒーが満たんに出来上がっていました。妻がちょっとその場を離れた隙に、まだヨチヨチ歩きの息子が、トコトコとカウンターの近くへ。下から見上げるとポットの取っ手が見えます。息子はジャンプして取っ手に手を掛け、ひっくり返りました。ガチャンという音の後、「ギャー」という叫び声。息子は頭からかぶるように熱いコーヒーを浴びたのです。幸い、頭や顔は少しかかった程度で済んだのですが、左肩から腕にかけて、熱湯で赤く膨れ上がっています。すぐに患部を流水で冷やしましたが、柔肌は剥け、肉が見えました。お祈りをしながら、近くの病院に連れて行きましたが、かなりの重傷で、即入院となりました。
 お医者様はすぐに適切な治療をして下さいましたが、今でも、肩や腕にやけどの跡があります。幼稚園や小学校に上がる時にいじめられないか、薬の副作用がないかと心配もしましたが、その後も明るく元気に育ち、友だちもたくさん出来ました。今こうして野球を楽しめることをありがたく思います。
 昨年からは、小学校のクラスメイトらと共に、地元のクラブチームに入部し、土日はグラウンドで練習や試合に汗を流しています。
 息子は、走塁は得意なのですが、打つのが下手くそでなかなかヒットが打てません。監督から、「お前は足は速いんだから、バットに当てて転がせばいいんだ」と言われてもバットにボールが当たらない。毎日、素振りを繰り返し、バッティングセンターにも通いました。監督も息子を「8番センター」で辛抱強く使ってくれました。
 春のリーグ戦の初戦。息子は2塁3塁に走者がいるチャンスに打席に立ち、必死にバットをボールに当てにいきましたが、空振り三振。結局、得点にはなりませんでした。
 その後も、息子は監督のサインはしっかり見るので、フォアボールで塁に出て、得点につながることは何度かありました。しかし、ヒットが出ない。次の打席、3塁前のぼてぼての当たりでした。それでも必死に走り、間一髪、足が勝って内野安打になりました。ぼてぼての当たりとは言え、ヒットはヒット。息子の待望の初ヒットです。親としては、とてもうれしく思いました。
 翌週、日曜日の試合、第2打席で息子は2塁打を打ちました。左中間をライナーで破る見事な2塁打でした。その時の息子の笑顔は忘れることが出来ません。
 チームではレギュラーの子も補欠の子もみんな頑張っていて、そのお父さんやお母さんたちも一生懸命支えます。親御さんたちと、時々、親睦会を開きますが、先日も、6年生がリーグ戦敗退後、チームを引退する時の泣きながらの挨拶はとても感動的でした。それぞれ子育ての課題や悩みも抱えているのですが、励まし合ったり、慰め合ったりする時間はとてもありがたく、特に試合に勝った後のお酒はおいしいものです。
 子どものことなのに、親が喜んでどうする? という声も聞こえてきそうですが、子どもの喜びは親の喜びなんだとつくづく思います。
 やけどをした時は、こんな日が来るとは思ってもみませんでしたが、1日、1月(ひとつき)、1年と、成長を重ねる中で、体も大きくなり、やけどの跡も少しずつ薄くなっていきました。
 ヒットを打とうが打つまいが、息子が元気に打席に立ってくれる、その姿を見るだけで私はうれしいわけです。ましてや、努力が実ってヒットを打てた息子の笑顔、満面の笑みを見られた私はなおうれしい。私は、もしかしたら神様もこんな気持ちなんじゃないかと思いました。いつも私たちのことを見守り、応援してくれている神様。そして、私たちと一緒になって喜んでくれる神様。神様は、私たちが喜ぶ姿を心待ちにしてくれている、そんなふうに思ったのです。
 時代社会は変わっても、親子の関係は変わりません。親が子どもの幸せをずっと願い続けるように、神様も私たち人間の幸せを願い続けています。そんな神様の思いを、私は今、現代社会に、多くの人々に、伝えていきたいと思っています。
 試合の日の夜、一緒に風呂につかりながら、息子は夢を語りました。「来年は2番セカンドになりたい。チームメイトとクラブを盛り上げ、試合に勝って、監督を喜ばせてあげたい」と、息子の目は輝いていました。
 今、ラジオを聞いて下さっている皆さん。神様は、私たちが人生という名の野球場でヒットを打つことを心待ちにしています。
 さあ、今日一日、あなたも神様も喜ぶ日になりますように。HAVE A NICE DAY!

 


 

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