紀要『金光教学』

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紀要『金光教学』第55号刊行



 金光教教学研究所では毎年、研究の成果を紀要『金光教学』に発表してきている。本年度は2編の論文が掲載されている。概要は以下の通り。


大林浩治論文


 「「神の頼みはじめ」における貨幣―貨幣経済へ向けた神と人との関わり―」


  この論文は、神が文治に、香取繁右衛門の「屋敷宅がえ」費用を依頼した安政4年の出来事における金銭(貨幣)のもつ意味を、歴史的変動をみせる幕末社会の 経済構造との関わりから究明する。加えて、その出来事が、慶応3年には「神の頼みはじめ」として文治に受けとめられることを踏まえて、貨幣経済が進む歴史 における神との関わりとして有した「はじまり」の意味を提示する。

 具体的には、まず安政4年の出来事そのものと、それが後に 「神の頼みはじめ」と知らされることとの違いに注目する。それによって、そもそも費用の依頼は、繁右衛門の無意識下になされたことであり、そこに、経済構 造の変動に伴う、神との関わりが容易につかないほどの非情な生活現実が背景にあることを把握する。そうした現実における文治の援助は、貨幣経済の交換論理 を超え、神への「信」から見直される。こうした関係から、神と人とが現実社会に向けて関わり合い、了解付け合っていく様を捉えていく。


児山真生論文


「昭和四〇年代における「布教」の課題―「教会の自立性」と「教団布教」をめぐる力学―」


  この論文は、近年、教政教務において進められている「教団布教」と「教会布教」を含めた「教団の布教」をめぐる議論を視野に収めつつ、昭和40年代の所長 会議記録等の資料を用いて、「教団布教」が浮かび上がってくる歴史過程を、教務の問題意識との関わりで論じたものである。

 具体 的には、竹部内局期の「第59回所長会議」(昭和41年11月)において「教会の自立性」が問題状況打開の要点として焦点化され、「現代社会に布教する教 会委員会」等の施策が進められた様相を示す。そして、これら施策を通して「教務とは何か」が問われたことを契機に、教務において「教会の自立性」が、自ら の役割と権能の分界を明確にしていく境界性の問題として捉え直されることとなっており、その結果、「教団布教」という表現によって「全教を背後にして一体 化して社会に向かう」と言える教務の役割領域が、認識される過程をたどったことが明らかにされる。


 なお、紀要55 号では、上記の論文のほか、昨年の第53回教学研究会(テーマ「教学研究の想像力―本所設立60周年を迎えて―」)での基調講演「教学研究の行方と由来― 情感と倫理の座標―」(本所所長 竹部弘)、記念講演「弔いにおける死者と生者―死者への想像力をめぐって―」(大阪大学教授 川村邦光氏)、記念講演を 受けての全体会の記録が掲載されている。

定価540円(税込み)。10月2日から金光教徒社で販売開始。


他号の論文は、紀要『金光教学』掲載論文一覧からご覧いただけます。

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