紀要『金光教学』

   文字サイズ


紀要『金光教学』第58号刊行



 金光教教学研究所では毎年、研究の成果を紀要『金光教学』に発表してきている。本年度刊行の第58号には、1編の研究論文が掲載されている。論文概要は以下の通り。

児山 真生論文


 「戦後占領期における「地方賦課」の提案とその背景
      ―布教施策をめぐる教政者の問題意識に注目して―」
  

 本教では、かつて活動費などを各教会に割り当て応分の負担を求める「賦(ふ)課(か)制度」という会計制度を設けていた。この背景には、「寄進勧化」を戒めた教祖の教えとの関係で「教祖の御神意に非ざる」ものと捉えられながらも、明治33年、本教教団が独立を果たす際、内務省から教団の維持・存続を担保する制度として求められ、導入したという歴史がある。

 さて、本論は、昭和25年度に導入され、昭和55年の教規改正まで30年に亘って運用された、「地方賦課」を取り上げるが、それは、教区が企画・実施するための布教活動費を、教務所が管内の教会に割り当て負担を求めるものであった。

 本論文では、本教の賦課に関わる歴史を視野に収めつつ、「地方賦課」導入の要因とその背景を、布教施策をめぐる教政者の問題意識に注目して明らかにしようとしたものである。

 具体的には、戦後の「占領期」という時代状況の中で、「地方賦課」が構想される過程を、本部による布教施策が布教活動費の不足と相まって停滞していた実態とともに、その打開が地方(教務所、教会隣組・教会連合会、教会)の自主的な布教活動に期待されていた様相から浮かばせている。そこから、教務所において抱えられていた地方の布教活動費の確保、捻出の困難さが、教団的施策の必要性として「地方賦課」を教政者の意識に上させたことを明らかにした。このことからは、「布教」を教団の優先課題として位置づけ直したことが、施策費用の問題、そして運営全般の力動的な見直しへの契機となったことが明らかとなる。この取り組みは、現在の教団展望をめぐる諸議論のねじれをはらんだ限界と可能性を示唆するものとなっている。

※紀要第58号では、上記の論文のほか、2編の寄稿が掲載されている。

【寄稿1】高木博志(京都大学人文科学研究所所長)


 「金光教と遊廓・花街―都市布教と民衆―」では、京都、姫路にある教会の「御祈念帳」の分析を通じて、取次を願い来る芸娼妓や妓楼主らの実態や心性に迫る。

【寄稿2】児山陽子(金光図書館御用奉仕)


 「金光教に関する芝居・幻燈・映画の上演上映について―大正期から昭和初期の『金光教徒』を中心に―」では、金光教をめぐる芝居、幻燈、映画の制作、上演上映について紹介し、それらの制作に関わる人々の信心を浮かび上がらせようとする。

  • 定価500円(税込み)。9月30日から金光教徒社で販売開始。


過去の記事



前へ
123
次へ
サイトマップ


Copyright(C) byKonkokyoReserch Institute since 1954