生まれてきてよかった
あけましておめでとうございます。今年も金光教東京センターから皆様方へメッセージを発信いたします。日々の生活の中で、少しでもお役に立てればと願っています。
私は宗教教誨師として、毎月ある少年施設へ出向しています。現在は新型コロナウイルスの影響で出向く回数が少なくなっていますが、収容少年たちは個人面接を楽しみにしているように見えます。守秘義務があるので詳細を話すことはできませんが、少年の多くが様々な家庭環境の問題を抱えています。幼い時から暴力を受けていたり、存在を否定されてきたりして、自分の安心できる居場所が見つからずに犯罪に手を染めてしまうケースが多いのです。自己肯定観が低い彼らは面接時間中に自分の思いを途切れることなく話し続けます。私は話を聴かせていただくという姿勢を大切にしながら向き合っています。彼らとの出会いは神様がお働き下さってのご縁だと考えていますので、面接の終了時間が近づくと私は彼らにいつも決まった言葉を伝えます。それは、「○○君、あなたが大切なものを見つけられように祈っているよ。生まれてきてよかったと思える生き方ができるといいね」というフレーズです。彼らはニコッと微笑んで「ありがとうございます」と返答します。私は心の底から彼らが「生まれてきてよかった」と言えるようになることを望んでいます。
先日、初めて参拝されたご婦人がいました。その方は子供さんの育て方や躾について悩んで相談に来られました。話を聴かせていただいていると、今のグローバル化する社会やAIの発展などを考えると子供にはそれ相応の教育を受けさせて感性を磨き、しっかり社会に対応できる人間になってほしいという親の子供にかける期待だったのです。私は彼女を否定せずに、金光教の4代教主が語られた「子供は親を見て育つと言いますが、よい子になってほしいと願う親が、よい親になることを忘れ、その努力を怠ってはなりません。よい子になってほしいと願うあまり、よい子になれ、よい子になれと求めるほうが強くなりますと、よい親になるほうの努力が怠りがちになります」というお言葉を伝え、神様やご先祖様との関係、人と人との関係の大切さを説明させていただきました。ご婦人はしばらく考え込んでいましたが、「良い親になれるよう努力したいと思います。私はなかなか子供を授かりませんでした。生まれて来てくれたからこそ親になれたことが分かりました。これからもお参りしてもいいですか」と言ってくれました。
人間が生きるということは、様々な問題を抱えるということです。だからこそ、よき人に出会うご縁をいただいて、その関係の中でお世話になり合いながら生きる道筋を探し当てることが必要になるのです。東京センターはいつでも皆様方のご相談をお待ちしています。「生まれてきてよかった」と言える人生を共に営んでいきたいと思います。
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