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第35回 金光教東京平和集会

開催テーマ 「子どもの人権ーいま私たちが、子どもたちのためにできること」
日時:2017年7月16日
場所:金光教館・千鳥ヶ淵戦没者墓苑
内容:各ひろば、平和行進、戦争死者慰霊・平和祈願祭

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 金光教東京センター(大木光雄所長)は7月16日、金光教館(東京都千代田区)で「子どもの人権 ~いま私たちが、子どもたちのためにできること~」をテーマに第35回金光教東京平和集会を開催し、110人が参加した。
 格差社会と言われる現代において、その格差解消の一つとして教育が不可欠であり、教育の機会はすべての子ども達が等しく有する権利であるにも関わらず、数多くの子どもの権利が奪われている現実がある。今年は「子どもの人権」について信仰の視点から見つめ深めることに取り組み、ご神願である世界真の平和実現へ向けた信心実践へとつなげたい、との願いで開催された。
 学びのひろばでは、3つのグループが「子どもたちが兵士となって戦う国」、「子どもたちに充分な教育環境が行き届かない国」、「豊かさの陰に子どもたちが埋もれてしまう国」について、それぞれの現実について紙芝居や人形劇を通して学んだ。
 「子どもたちが兵士となって戦う国」では、イスラム国に拘束され、犠牲となったジャーナリストの取材で明らかになった、シエラレオネ共和国で実際にあった子ども兵士のケースを紙芝居を使って紹介。
 「子ども兵士が急増した要因として、武器の軽量化や簡易化、戦争孤児の増加、紛争や貧困、干ばつなどによる学校の閉鎖や国の不安定化を挙げ、子ども兵士という人権侵害を解決するためには、紛争や内戦となっている根本原因を取り除いていく平和的手段、活動が大切である。武器の調達や資金源を絶つといった『テロリストたちが好む環境の改善』。民族差別や貧困の解消、紛争地域の一般の人々の教育の機会の向上、雇用の創出、社会整備の強化といった『テロや紛争を生み出す土壌の改善』が必要である。「人を助けて神になる」と教えられている私たちは、平和的に貢献できる道、あるいはすでに取り組んでいる活動に参加する道はないのかなど、考えていく必要がある」と述べた。
 「子どもたちに充分な教育環境が行き届かない国」では、カンボジアを例に取り上げ、カンボジアで教育を受けることが困難な背景として、ポルポト政権時代による政治家や教師などの知識人の虐殺、焚書政策によって書物の大半が失われたことなどをあげ、その影響から教員不足、書物不足から子ども達が教育を受けられる環境にない学校が数多くあるとの実情や大崎教会で取り組んでいる食糧支援や井戸掘りプロジェクトといった支援の内容。クレヨンを送る運動、絵本の翻訳プロジェクトの紹介と現地の人たちとのエピソードなどを劇を交えながら報告があった。
 そして、「『こどもの権利条約』第28条には『教育を受ける権利』が定められている。それは、子どもが教育を受けられる状態を作ることでもある。いわば、子どもの教育の権利に対して、大人は子どもが教育を受けられるための義務を担っている。現地の方々の支援が展開していくことができるように、私たちも、いろいろな活動を通して、微力ながら支援をさせて頂いている。それは教組様のみ教えにある「人が助かることさえできれば」の一端を体現しているのである。身近にこのような取り組みがあったら、少しでも関わってみて欲しい」と呼びかけた。
 「豊かさの陰に子どもたちが埋もれてしまう国」では、虐待問題を題材にして説明。虐待内容は、心理的虐待、性的虐待、ネグレクト、身体的虐待の4つに大別され、子どもの面倒を見ずに放置するネグレクトや心理的虐待などの割合が増えていることを上げ、虐待の背景に、格差の広がりからくる子どもの貧困の問題があるとした。
 その上で、「絶対的貧困」「相対的貧困」について説明し、「経済的格差は、不十分な衣食住、成長の遅れ、低学力低学歴、文化資本の欠如、不安感不信感からの低い自己評価、他者とのコミュニケーション不全を引き起こし、誰にも受け入れられずに孤立した子どもが行き着く先は犯罪組織や性風俗であったり、虐待の後遺症による精神疾患であったりする。そして貧困から抜け出せずに、大人になり、次世代に貧困が連鎖してしまう。
 私たちは貧困の実態、貧困の原因、貧困の悪影響、貧困の悪循環を知り、人と人が助け合い、神様も助かる世界が開けるよう願うことによって、何か支援できることが起きたときに、神様の願いに添った行動がとれるようになり、人が助かる実践が出来るのではないか」と述べた。
 最後にひろばのまとめとして、「20世紀は戦争の世紀と言われ、空襲に子どもを含み一般民衆が戦禍の犠牲になり、戦争孤児が多く生まれた。その中で子どもの『人権』が発見された。1924年に国際連盟で表明された『ジュネーブ児童権利宣言』、1959年に国際連合総会において採択された『児童権利宣言』など、大戦の反省に立って子どもの生存権や養育権を地球規模で守ろうとしたものだった。そして、この精神を踏まえ、『条約』として批准各国に遵守責任を課そうとしたのが、1989年に国連総会で採択された『子どもの権利条約』である。その根底には、子ども達のいのちと成長のための時間は、地球的規模で守る以外に保証の道はないという判断であった。
 今日の集会で学んだことをご家族や教会の皆さん、お友達とも共有して頂き、信心の平和実践への一歩として頂ければありがたい」と述べられ、金光教平和活動センター、クレヨンを送る運動、ハートフル・トレード・プロジェクト、青い鳥点訳グループなど、教内の様々な活動についても紹介した。
 その後、参加者は千鳥ヶ淵戦没者墓苑に向けて平和行進。「争いを無くそう!」「いのちを大切にしよう!」「子供たちに平和な世界を!」といったシュプレヒコールを上げながら、道行く人に平和の尊さをアピールした。
 千鳥ヶ淵戦没者墓苑では、大木所長を祭主に戦争死者慰霊・平和祈願祭が仕えられた。祭主は祭詞で、戦争や平和ならざる状況によって尊い命を亡くされた全てのみたま様の立ち行きを願うとともに、それぞれが「世界の平和と人類の助かりに向けて、『神人の道』を開く」との願いを持ち、神心となって、人を祈り、助け、導く信心生活を実践し、世界真の平和達成の御神願成就のお役に立たせてくださいと祈りをささげた。続いて、献水・献花が行われ、戦争死者慰霊・平和祈願の詞を奉唱した。
 最後に祭主が、「政治や経済のしわ寄せは、子ども達や弱い立場の人たちに来る。そういう人たちのいのちの視点に立って、金光大神の信心を持って考え直してみたい、無関心でいることは神様に対してご無礼であるという自覚に立って、今日の集会を進めさせて頂いた。これから議論されてくる憲法改正問題、安全保障問題、原発再稼働問題、すべての政治社会問題に対して、いのちの視点に立って、求め取り組んで参りたいと思う。間違ったことに対しては、信心を持って発言していく、そのような立場をとらせて頂ければと願っている。いのちの視点とは人が助かることである。このことを真摯に求めて、神様、みたま様にお喜びいただける信心生活をお進め頂ければと願っている」と、あいさつした。