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第34回 金光教東京平和集会

開催テーマ 「どこまでも真の平和を求めて」
      ー日本国憲法公布70年 真の平和を考えようー
日時:2016年7月17日
場所:金光教館・千鳥ヶ淵戦没者墓苑
内容:大人のひろば、平和行進、戦争死者慰霊・平和祈願祭


 金光教東京センター(大木光雄所長)は7月17日、金光教館で「どこまでも真の平和を求めて ~日本国憲法公布70年 真の平和を考えよう~」をテーマに第34回金光教東京平和集会を開催し、160人が参加した。
 本年は昭和21年に日本国憲法が公布され70年の節目から、憲法の意義を正しく理解し、「世界の平和と人類の助かり」の御神願成就に向けて、現在浮上している憲法についての論点を整理し、1人ひとりが主体的に考えていくための学びの場となることを願いとして開催された。
 大人のひろばでは、日本国憲法の中でも憲法9条に焦点を絞って、改憲、護憲、選憲、それぞれの立場の主張が述べられ、憲法改正草案に国防軍が明記されたことにふれ、改憲派の意見として、①他国と戦争しないための方策②現在の世界情勢に合わせて改正する③日本国、国民の生命、財産を守る、憲法改正の目的を挙げ、戦後、日本は経済大国になり、戦後70年奇跡的な復興をとげてきた。私たちの国だけが平和であればよい、という利己主義はもはや通じない。この国とこの地球を救う為のあらゆる努力をするべき時で、憲法改正は改善であり、決して改悪ではないと述べた。
 次に護憲派の意見として、自衛隊が軍隊となる。安保法制で「専守防衛」の理念が犯され、「国防軍」となるとさらに歯止めが効かなくなる。軍事に偏った安全保障は、逆に自国民を危険にさらし、国民の権利を制約する可能性がある。安全保障は平和的手段を第一義として進め、国際貢献も武力行使を目的としない非軍事的な活動に限定して行うべきである。そして、世界の軍隊を自衛隊化し、さらには世界各国が憲法9条を持つような方向性を目指すべきである。改正草案の本質は、「国民主権の縮小」、「戦争放棄の放棄」、「基本的人権の制限」であると述べた。
 そして選憲派の意見として、選憲とは、もう一度日本人の手で憲法を選び直そうという考え方である。憲法9条は、戦争放棄、絶対非戦、日本人の不戦への祈りが込められた条文であるが、同時に沖縄を軍事要塞化しておけば、日本を永久に武装解除したままにできるという意味がある。また、国連憲章の敵国条項では、第二次大戦中に連合国の敵国であった国が軍事行動を起こした場合は、安保理の許可なく軍事制裁を科すことができるとある。日本が軍事行動を起こせば、各国は勝手に日本を攻めることができるのである。そして、国連憲章には、人類の向かうべき条項を定めているが、敵国にはすべて適用されない。国連憲章上では日本は世界で一番最下位の地位にある。
 敵国条項を完全に削除することが先であり、そのためにも世界の全ての国から信頼される憲法に選び直す必要がある。軍事力を強化するのではなく、国際協調主義を志向しつつ、9条を強化する方向での改憲もあると考えている。当面は自衛隊を「国土防衛隊」、武力行使を目的としない「国際貢献部隊」、国内外への災害派遣を専門とした「災害救助隊」に再編し、自衛隊がサンダーバートのように、世界中の人々を常に助けまわり、世界から信頼される国になれば攻めてくる国はなく、これこそが最大の抑止力だと確信していると述べた。 
 続いて、劇団夏季による「それぞれの平和 守るべきもの」が上演された。とあるレストランを舞台に、かつての世界を守っていたヒーロー達が同窓会をひらくという設定で上演され、「人の身が大事か、わが身が大事か。人もわが身もみな人である」をキーワードに、戦争も、環境破壊も、人間のエゴによる産物で、本質的には同じ問題であり、その根にある人間の生き方が変われば、世界は変わっていくかも知れない、その一歩を踏み出してくことの大切さを訴えた。
 そして、企画委員の辻井篤生先生がまとめとして、教祖金光大神様がもし現在におられたらどう答えるだろうかという、金光大神様の信心の視点から問題を捉えていくことが必要とし、①人間性のご無礼への自覚」②世界・人類③過去、現在、未来の他者からのまなざしを意識する、との3点の視点を挙げ、過去に学び、現在の世界情勢や憲法問題を通して未来を展望していく時、金光大神様の信心の視点から見えてくるものは、自分たちだけが正しく、相手が間違っていると一方的に思わないこと、国とか民族といったカテゴリーだけでとらえるのではなく、一人ひとりの人間として尊重していくということが大切であると述べた。
 一方、子どものひろばでは、ボール遊びを通して相手の気持ちを考えることを学び、パズル、絵本の読み聞かせ、アニメを通して、平和について学んだ。
 その後、参加者は千鳥ヶ淵戦没者墓苑に向けて平和行進し、2度と戦争という過ちを繰り返さないよう、道行く人に平和の尊さをアピールした。
 千鳥ヶ淵戦没者墓苑では、大木所長を祭主に戦争死者慰霊・平和祈願祭が仕えられ、戦争や平和ならざる状況によって尊い命を終えられた全てのみたま様の立ち行きを願うとともに、それぞれが人を助けて神になる信心生活を実践し、世界の平和と人類の幸福のご神願成就のお役に立たせてくださいと祈りを込めた。続いて、献水・献花が行われ、戦争死者慰霊・平和祈願の詞を奉唱した。
 最後に大木所長が、「歴史を振り返り、今日まで日本が築いてきた物事、制度も含めてすべてのことがらにこもる精神をどう金光大神の視点をもって見つめ直すのか、そしてこれから先の未来に向けて、どういう国をイメージし、形作っていくのか、そのことを金光大神の信心を持ちながら考えるということをお進めいただきたい。様々な考え方があり、私はこうしたい、私はこうありたいということも大切なことである。その違いを含めながら、平和ということはどういうことであるのか、もう一度このことを機会にして、国の形、国の制度も含めて考えさえていただきたいと願っている」と、あいさつした。