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第27回 金光教東京平和集会

開催テーマ 「どこまでも真の平和を求めて」
日時:2009年7月19日
場所:金光教館、千鳥ヶ淵戦没者墓苑
内容:講演、子どものひろば、平和行進、祈りのつどい

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 金光教東京センターは7月19日、金光教館(東京教会)および千鳥ヶ淵戦没者墓苑を会場に「どこまでも真の平和を求めて」をテーマに第27回金光教東京平和集会を開催し、およそ200人が参加。参加者等は、講演や子どものひろば、平和行進、祈りのつどいを通して、「世界真の平和」のために何が大切かを、学び求め合った。
 講演では、ペシャワール会事務局長の福元満治氏が「丸腰のボランティア~アフガニスタンの現状と展望~」と題し、アフガニスタンでの活動の様子や灌漑用水路の整備などをスライドを使いながら次のように講演した。
 「私たちはイスラムという異文化の中で、これまで活動を続けてきている。海外で支援をしたり協力する場合に一番の基本的なことは、相手の宗教、文化、歴史、習俗などを尊重しいくことである。それがないと、いかに誠実に協力しようとしても、事業は失敗してしまう。日本を含めた先進国は、経済的に貧しい途上国に対しては、なぜか優越感をもって接してしまい、知らないうちに相手を侮辱してしまう場合がある。
 イスラムというと、すぐにテロや血生臭いイメージが先入観にあるが、現地の一般の庶民は私たちと何ら変わることがない。一番重要なことは異文化を自分たちの尺度で測らないことである。
 1989年にソビエト軍が撤退して以後(アフガニスタン紛争)、世界中の多くのNGOが首都のカーブルやジャララバードといった都市部に集まってきた。私たちは、都市部ではなく、無医地区、つまり医者のいない山岳部に病院をつくってきた。それは、『みんなが行くところには、誰かが行くから行く必要はない。誰も行かないところにこそ、我々に対するニーズがある』という中村医師の言葉からだ。私たちは、たとえスポットが当たらなくても、現地のニーズのあるところに行くということで活動を続けている。
 2000年には大干ばつに見舞われ、汚い水を飲んで赤痢や感染症になり、多くの子ども達が亡くなった。一般にNGOや国連組織は、子ども達が赤痢や感染症になると、抗生物質を使うが、水が汚いと、いくら薬をばらまいても意味がない。きれいな水さえあれば、たいていの病気が治ってしまう。
 そこで、急遽井戸掘りやカレーズ(伝統的な地下水路)の修復を始めた。アフガニスタンは8割が農民で、干ばつ前には穀物自給率が93パーセント以上もあった。井戸は飲料水にしかならず、一番の生きる基本になるのは農地の回復であり、無謀と思われたが、灌漑用水路建設にも着手した。これまで、のべ60万人の雇用が発生している。もしこの用水路工事がなければ、難民となってしまうか、軍閥や米軍の傭兵になるしかなく、治安の不安定化にもつながる。そういう意味で、農民が生きていくベースができ、雇用対策に繋がっている。
 大事なことは、相手の文化を尊重すること。自分たちが先進国で優れているだろうと青写真を描いて、相手に押しつけてはならない。現地の人たちが何を望んでいるのかということを知ることが重要である。
 9.11の時に退去勧告がでた際、必ず戻ってくる長老達に伝えて日本に帰ってきた。その時、長老達が私たちに『世界には二通りの人間がいる。ひとつは無欲に他人のことを思う人。もうひとつは自分の利益のみを図ることで、心のくもった人たちである。あなたがた日本人はどちらであるかお分かりでしょう。私たちは決してあなたたがたの日本と日本人を忘れません』と言ってくれた。そして3カ月後に戻ってきた。いつも我々はどちらの人間であるかということを問われながら活動をしている」
 子どものひろばでは、「こころの平和」をテーマに、いじめ問題やインドで貧しい生活をしている子どもたちについて、本を題材にして話し合ったり、東京大空襲に関するビデオを鑑賞し、戦争の悲惨さ、いのちの大切さを学び、その後「すいとん」作りをした。
 子ども達はこのひろばを通して、神様にお願いすること、思いやりのこころを持つこと、神様や人に感謝することの大切さを学んだ。参加者一人ひとりに、願い事や悩み事などを書いて祈るための「神様へつながるノート」が手渡された。
 続いて、金光教館から千鳥ヶ淵戦没者墓苑に向けて「平和の心を持とう!」「一人ひとりに心の平和を!」「全てのいのちを大切にしよう!」といったシュプレヒコールと例年の日本語と英語による金光教の平和アピールに加え、今年は中国と韓国の留学生による中国語と韓国語によるアピールも行い、道行く人に平和への思いを伝えた。
 千鳥ヶ淵戦没者墓苑の祈りのつどいでは、平和合唱団による「献歌」の中で、参加者全員による「献花」が行われ、続いて「献水」、「黙祷」。関東教区青年教師会代表による「平和への誓い」が述べられた。そして、参加者全員で「平和の祈り」を奉唱。人間の平和ならざる行いによって命を失ったすべてのみたま様の立ち行きを願うと共に、二度と同じ過ちを繰り返さないことを誓い、ここからの「世界の平和と人類の助かり」を祈った。